古書と人生

2022年03月24日

第15回「震災から11年。「河北新報のいちばん長い日」を読む」

今年年は東日本大震災から 11年となる年です。
私は当時中学2年生で、卒業式の練習のため授業がなく、自宅に早く帰宅してテレビをつけたところ自宅も揺れ出したという鮮明な記憶が残っています。
それからというもの、テレビには津波の映像が流し出され、日々増えていく死者の数に怯えていた記憶もあります。
今回はそんな震災のもとで新聞を発行し続けた宮城県の新聞・河北新報を取り上げた作品「河北新報のいちばん長い日ー震災下の地元紙」(河北新報社、2014年3月10日、文芸春秋)を見ていきます。









河北新報と新聞制作

河北新報は宮城・仙台に本社を置く地域ブロック紙。
明治30(1897)年に創刊され、現在に至るまで東北地方の報道を担っています。
2011年の 3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」では、大津波などの被害が相次いだほか、「東日本大震災」が引き起こされ、東北地方を中心として甚大な被害をもたらしました。
河北新報も地震や停電の影響を受け、自力で新聞を発行できない事態となりました。
そのため、河北新報社は新潟にある新潟日報社の協力を得て新聞を制作。
両社は災害時における協定を結んでいるため、新聞を制作できたといいます。




新聞の必要性

若者にとって新聞の必要性はあまりないかもしれません。
その理由として、ウェブは沢山のニュースにあふれ、スマートフォンを少しいじっただけで新聞記事を読めるからだと思います。
しかし、スマートフォンを持たない人や、比較的スマートフォンを使いたがらない高齢者にとっては、やはり新聞などの紙媒体は大変貴重な情報源となります。
さらにネットが使えないと情報もわかりません。
情報源がないと困ります。
そのため、ライフラインとして新聞を存続させる必要性は大いにあると思います。




新しい企画をウェブ上でも

今回、本を読んで思ったのは、災害大国の日本における様々なインフラ整備をどうすべきかということです。
本書は新聞制作の面においてのインフラ整備が題材になっていました。
これからどうやって新聞の印刷をするのか、データを管理するのかを考えるとともに、今後、そういったことが起きないように対策を考えていくことが大切になるでしょう。




最後に

今回は「河北新報のいちばん長い日」を取り上げました。
本稿執筆時、東京では電力ひっ迫警報が出るなど、東日本大震災直後に行われた計画停電と同じような状況になりつつあります。
「脱炭素」など環境問題を考えるのはいいのですが、今回のような状況を踏まえ、これからどうやって日本のインフラなどを支えていくのかについて、もっともっと議論が必要だと思っています。
これを機会に、議論がさらに深まることを期待しています。



posted by 小林英介 at 11:00 | Comment(0) | 第1回〜第25回
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